「クラシック侍」 杉ちゃん&鉄平 楽曲解説 文:杉浦哲郎(ピアノ/編曲)

バロック~ロマン派というクラシック音楽が発展した時期はちょうど江戸時代と重なります。
もしも鎖国政策がとられてなくて、その時代に日本の伝統音楽に異国の楽器やメロディが、
黒船のように押し寄せてきたらどうなっていたんだろう?
そんな思いに胸を踊らせながら作ったアルバムの聴き所をまとめてみました。

収録曲(全14曲)

14. 夜明けのあと 13. 墓礼路 12. ラ・津軽じょんがネラ 11. 越天楽行進曲 10. 展覧会の浮世絵 09. 大臣殿被斬 08. じゃじゃまる協奏曲 07. 無伴奏「一揆」パルティータ 06. 日本舞曲第五番 05. 黒色の髪の乙女 04. 指打鍵盤切捨御免 ~タイプライター~ 03. 序曲「暴れん坊将軍」~ロッシーニに捧ぐ~ 02. 北辰一刀流の舞 01. 仏よ、人の望みの喜びよ

01. 仏よ、人の望みの喜びよ 作編曲:杉浦哲郎/引用:J.S.バッハ「主よ、人の望みの喜びよ」

バッハの名曲を引用、「ミファラシレ」という陰音階を基調にしつつ、篳篥と笙とのコラボを試みました。
雅楽奏者の西原祐二氏による雅な演奏ですが、笙とピアノの内声との絡みは理論度外視!
ちなみに、決して宗教を冒涜した作品ではありません。

ページの先頭へ

02. 北辰一刀流の舞 作編曲:杉浦哲郎/引用:ハチャトゥリアン「剣の舞」

ハチャトゥリアンの名曲をモチーフに、陰音階と太鼓のリズムで幕末の混乱を表現しました。
津軽三味線チャンピオンの浅野祥氏と、仙台を拠点として活動する和太鼓ユニット「閃雷」をフィーチャーしています。

ページの先頭へ

03. 序曲「暴れん坊将軍」~ロッシーニに捧ぐ~ 作曲:菊池俊輔/編曲:杉浦哲郎/引用:ロッシーニ「ウィリアム・テル序曲」

杉鉄伝統の冗談音楽、時代劇のテーマとロッシーニ「ウィリアム・テル」をマッシュアップ。
今回は即席「杉鉄室内交響楽団」を率いて、壮大なヴァイオリンコンチェルトに仕立てました。

ページの先頭へ

04. 指打鍵盤切捨御免 ~タイプライター~ 作編曲:杉浦哲郎/引用:アンダーソン「タイプライター」

機械の操作音とオーケストラがコラボしたアンダーソンの愉快な曲にインスパイアされた作品です。
せわしない旋律と休符(=間)の応酬が、果たし合いのシーンにとても似ているなあ…と思いませんか?

ページの先頭へ

05. 黒色の髪の乙女 作編曲:杉浦哲郎/引用:ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女

ドビュッシーがイメージした乙女がもし日本人だったら、こんな曲になったのではないでしょうか。

ページの先頭へ

06. 日本舞曲第五番 作編曲:杉浦哲郎/引用:ブラームス「ハンガリー舞曲第五番

ジプシーヴァイオリンの名手、ラカトシュ編曲による「ハンガリー舞曲第五番」をモチーフにしました。
テクニックを駆使したヴァイオリンと三味線を、ピアノとコントラバスが支える超絶技巧作品です。

ページの先頭へ

07. 無伴奏「一揆」パルティータ 作編曲:杉浦哲郎/引用:ブラームス「ハンガリー舞曲第五番」

08. じゃじゃまる協奏曲 作曲:ヴィヴァルディ(四季より「夏」)/編曲:岡田鉄平 杉浦哲郎

バッハ、ヴィヴァルディというバロックの巨匠の作品をパロディ変奏。
こちらも伝統の冗談音楽路線、懐かしの歴史ゲームを想起させる奏法でアプローチしました。

ページの先頭へ

09. 大臣殿被斬 作編曲:杉浦哲郎

中村吉右衛門氏、野村萬斎氏ら錚々たるメンバーによる朗読DVD「原典平家物語」の音楽(生演奏)の一部と、
イメージカットでは公家と武士に扮して出演も果たした杉鉄。
収録された即興演奏をモチーフにしたオリジナル作品で、デュオと並行して活動している
「杉鉄クインテット」による演奏です。

ページの先頭へ

10. 展覧会の浮世絵 作曲:ムソルグスキー(展覧会の絵より「プロムナード」)/編曲:杉浦哲郎

ムソルグスキーの名作より「プロムナード」の部分を、独自の無国籍なコード進行で解釈しました。
尺八奏者小濵明人氏の美しい音色とストリングスの響きで、「ウタマロ」の世界を表現しています。

ページの先頭へ

11. 越天楽行進曲 作曲:メンデルスゾーン(結婚行進曲)・ワーグナー(婚礼の合唱)・作曲者不詳(越天楽)/編曲:杉浦哲郎

結婚行進曲にちょっとセンチメンタルなコード進行を乗せ、神前式結婚式の定番雅楽曲、「越天楽」とミックスしました。
箏奏者、山野安珠美氏の日本の音階と西洋音階を巧みに使い分けた演奏、そして篳篥と笙による和洋折衷感、
さらにフラジオレット奏法で雅楽の響きをイメージさせたヴァイオリンのメロディも聴き所です。

ページの先頭へ

12. ラ・津軽じょんがネラ 作曲:パガニーニ(ラ・カンパネラ)/編曲:杉浦哲郎・浅野祥

じょんがらとパガニーニ…西洋と日本を代表する弦楽器の代表曲を融合しました。
ヴァイオリンと津軽三味線だけで編曲、技巧を駆使して演奏されたかなり大胆な実験作品です。

ページの先頭へ

13. 墓礼路 作編曲:杉浦哲郎/引用:ラベル「ボレロ」

誰もが知るラベルの壮大な作品に、お遍路のイメージを重ね合わせたアルバムのクライマックスを飾る大作です。
「閃雷」による和太鼓と三味線、小濵氏の尺八、種田博之氏のギターが入り交じったカオスの世界を感じて下さい。

ページの先頭へ

14. 夜明けのあと 作編曲:杉浦哲郎

アルバムの余韻となるオリジナルの小品です。弱音器を使い、ヴァイオリンを胡弓の響きに近づけました。

ページの先頭へ